今の時代、同じ会社に居続けようとしても、いつまで同じ環境でいられるかはわかりません。会社の平均寿命は、25年を切っています。新卒で就職した会社は、定年の際にはなくなっているほうが多いのです。

一方、定年になったその後も、何年も働き続けなければいけないとすると、どうやって次の仕事を見つけるのでしょうか。会社員はどのようになっていくのでしょう。

定年になった会社の再雇用という方法があるかもしれません。ただし、多くの会社では、定年前までと同じ待遇というわけにはいきません。定年前までの部下が、上司になってしまうこともあります。 そう考えると、正社員として働けるとはいえ、定年後の再雇用が働きやすい職場環境・仕事でないことのほうが多いのです。

定年まで時間のある方は、もっと大変です。終身雇用・年功序列が本格的に崩れ、給料が右肩上がりということはなくなってきます。そのような中、単純作業のＡＩ化などの流れの中で、会社員として生き残っていかなければなりません。

これらに対応する一つの方法が「副業や起業」です。もちろん、副業や起業は一つの選択肢ですが、起業について知っておくこと、副業でも起業を経験することで、リスクなく自分の選択肢を増やすことができるでしょう。

世間では、副業解禁が始まっていますが、ブームの中では怪しい事業も残念ながら存在しています。どうしても、極端な例が伝わりやすいため、実際の起業を知らない人が多いのが現実です。本当の等身大の“起業”が語られていないのです。

「起業すること」を特殊なことだと考えないでください。

会社の中で異動する、会社を変えて転職することと同じように、一つの仕事の選択の手段なのです。

上場をして有名になって、世界一の企業になる！という起業もあります。しかしながら、自分の好きなことを仕事にして、大きく儲かりはしないけれども、小さく長く続ける、自分の身の丈に合った「副業や起業」の形態もあるのです。

本書では、主に後者のような、小さく長く続ける仕事として副業・起業する人たちのためのルールを取り上げます。

”秒速で月に百万円稼ぐ”わけではなく、”自分の生活のためにしょぼく続ける”わけでもなく、まわりの人々や世の中の役に立ち、長く繁栄し続ける起業はどのようにできるのか。その方法について、書きました。

もちろん、起業全般に共通することもありますし、最初のステップを経てから上場を目指すこともあるでしょうから、そのような起業を考える方にも役立つ内容が多々あります。

私は、日本の起業家が倍増すれば、日本社会全体が良くなると思っています。

起業家が増えることによって、仕事の選択肢が大幅に増え、活き活きと仕事をする大人が増えていく。

そうすると、大人になって早く仕事をしたいという子供が増え、子供も大人を尊敬し、仕事をする人・起業する人を尊敬する世の中になっていくと信じています。

本書が、「副業や起業」を考え、実行する人を増やす、そして活き活きと仕事をする社会を創るための一助となれば、大変うれしく思います。

四ッ柳　茂樹